
小学2年秋から私の苦悩の吃音人生が始まり、21歳の夏、吃音を治すために、東京正生学院に行くまで続きました。東京正生学院では、1か月必死に治す努力をしたにも関わらず吃音は治りませんでした。しかし、同じような経験をしてきたどもる人たちと大勢出会い、吃音と向き合うことができるようになりました。その年の秋、どもる人のセルフヘルプグループ言友会を創立し、活動をする中で私は大きく変わっていきました。
その後、ことばの教室の教員を養成する大学、大阪教育大学言語障害児教育教員養成課程の教員になりました。自分自身の体験、セルフヘルプグループの活動の体験を整理し、「吃音はどう治すかではなく、どう生きるかの問題だ」と確信するようになりました。全国のことばの教室の教員とともに、子どもの教育についても深く考え、実践してきました。 その後、カレー専門店のオーナーシェフなるなど、仕事は変わりましたが、ライフワークとしての吃音についてはずっと取り組みを続けています。世界で初めて、第一回吃音問題研究国際大会を大会会長として開催し、世界のどもる人、吃音研究者・臨床家と情報を交換し、議論を続けてきました。また、臨床心理学、精神医学、社会心理学、竹内敏晴からだとことばのレッスンなどを、吃音の取り組みに生かそうと、ワークショップなどを開いてきました。それらの中で考え、話し、書いてきたことについて過去の研究論文やエッセーなど、私の考え、実践してきたことを紹介します。
(伊藤伸二)
