私はようち園に入る少し前からどもり始めました。小学校5年生くらいまで、そんな自分がいやになって、どもることにも、自分にもムカついて、自分にやつあたりをしていました。自分の髪の毛をひっぱったり、頭をなぐったりするのです。きっと、これは、どもりをなおしたいという気持ちからだったと思います。
小学校2年生の夏休みに、吃音の人が集まるサマーキャンプに参加しました。ここで初めて、どもっているのが私とお母さんだけではないということが分かりました。そして、同じ思いを持つ、吃っている仲間がたくさんできました。もし、サマーキャンプに来ていなかったら、私はまだ自分にやつあたりしていたり、どもりのことで泣いていたかもしれません。
今は「なおさなくていいや」と思っています。逆に、だんだん「なおしたくはないなあ」と思う気持ちが大きくなっています。自分でも不思議です。キャンプでたくさんの友だちができて、自分だけじゃないという強い気持ちが生まれました。だからこそ、自分が強くなれたような気がしました。もし、吃音のことがなかったら、そんな気持ちが生まれてこなかったかもしれません。
人はひとりひとり顔が違うように、得意なことも悩みも違います。そんな違いを責めたり、気にしたりせず、その人らしさとして、分かり合えたらいいなと思います。吃音があってよかったかもしれない、それも私らしさかもしれない、こう思い始めることができたのです。私には、どもるのが似合っているのかもしれません。
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