2004年度・第7回「ことば文学賞」受賞作発表


  最優秀賞 「母との思い出」 橋本貴子

  優秀賞 「三つ子の魂 百までも」 峰平佳直

  優秀賞 「マイナス+マイナスは?」 田辺正恵


 今回の「ことば文学賞」には、これまでで最多(昨年度と同数)の、15作品の応募がありました。内容的にも力作揃いでした。
 2003年度まで「ことば文学賞」の選考をして下さっていた高橋徹さんに代わって、元朝日新聞記者の五孝 隆実(ごこう たかみつ)さんに、審査と作品講評をお願いしました。

 2005.01.21の大阪吃音教室例会を「文章教室」と題し、「ことば文学賞」の受賞作発表と賞品の授与を行いました。
 「文章教室」当日は、22名が参加しました。あいにく、審査員の五孝さんにはご多忙のためご来場頂けませんでした。
 「文章教室」の進行を溝口さんが担当し、応募の全15作品を参加者で読みました。「どの作品にも、作者の思いがあふれていて、うなずきながら聞き入った」とは、当日の報告を『新生』に寄せた溝口さんの感想でした。
 朗読が終了後、参加者の間で良かったと思う作品に投票しました。集計すると、田辺さん、橋本さん、峰平さんの3作品が高得点を獲得しました。
 その後、溝口さんから五孝さんの選考による、最優秀賞1作品、優秀賞2作品を発表。順序こそ違うものの、当日の例会参加者による選考3作品と、ぴたりと一致しました。

 作品は 別ページ で読んで頂くとして、ここでは受賞者の3人の感想を掲載します。「文章教室」に参加された橋本さん、峰平さんは、写真付きで紹介します。
 また、五孝さんから寄せて頂いた講評は こちら です。


  最優秀賞 「母との思い出」 橋本貴子

 こういうものを書こうと思いつつ書けずにいて、文学賞の締切り直前、数時間で急いで書き上げました。受賞出来てとても嬉しいです。
 特に、五孝さんに頂いた講評(「吃音と上手につきあおうという気持ちになるのは難しいことだと思います。でも、この筆者はやり遂げるような気がします」)を伺って、本当に書いて良かったと思いました。


  優秀賞 「三つ子の魂 百までも」 峰平佳直

 ぜひ書きたかった内容で、「ことば文学賞」の作品募集前から書き始めました。事実を元に、想像を少し入れて作品にしました。文中に書いたように、父の死を境に自分の吃音が変わったことを感じていました。書くことを通してそれを改めて実感したし、自分自身を見つめ直すことも出来ました。
 吃音の不安感が、今ではすごく減っています。これは自分でも不思議なほどです。
 (「亡くなった父親との関係は?」との質問に)以前は仲がとても悪かったのです。今も、健康だった頃の父親は嫌いです。でも、最晩年の父親は好きだし、父のことを書いて良かったと思っています。書いているうちに、自分の中から以前のイメージとは違う父親が出て来たように感じました。心の中では、仲直り出来たのかも知れません。


  優秀賞 「マイナス+マイナスは?」 田辺正恵

 「ことば文学賞」優秀賞をいただきまして、とても嬉しいです。
 ありがとうございます!!
 今回、応募するためにこの文章を書いて思った事は「伝えたいことを伝えることの難しさ」です。
 書けば書くほど、自分の想いから遠ざかってしまう、元に戻りたいけど、どう戻ってよいか分からなくなってしまい、途方に暮れながら、書きました。
 改めて文章を書くことの難しさと、自分の文章が下手だという事がよく分かりました。
 でも、書くことは楽しい!です! そのことも分かりました。分かって良かったです。
 五孝さんが言われている「文章が詰まりすぎている、もっと整理し、改行を増やした方が良い」は、「これは私の事だ!」と思いました。
 いつも、子供に「読みにくい」と言われています。なんだか、「顔を洗って出直してきます!」の気持ちです。
 この気持ちを大切にしながら、これからも書いていきたいと思います。
 ありがとうございました!



「ことば文学賞」応募原稿・募集要項

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