私たちの生活には、楽しいことや心躍るようなことばかりではなく、つらく苦しいときもあります。病気やケガをすることもあれば、仕事や人間関係でつまずいたり、人生を揺るがすような思わぬ出来事が起こったりすることもあります。それらをすべて避けて通ることはできません。
しかし幸いなことに、人間には、そういう苦境から自分で立ち直る力が備わっています。自然治癒力ということばは、そうした意味を持っています。子どものころ、夢中で遊んでいるうちに腕や脚に擦り傷やコブができても、数日のうちにいつの間にか治っていたという体験をした人は多いと思います。そのように、自分で自分を治す力を、私たちは誰でも持っています。
病気になって医者にかかったときも同じです。医者は検査をしたり薬を出したり傷の手当てをしたりしますが、それは、その人が持っている自然治癒力を引き出す手伝いをしているのです。病気やケガからの回復は、患者さん本人の力が大切な役割を果たしています。これは、肉体面でも精神的なことでも変わりません。
だからといって、いつでも一人で頑張らなければいけないわけではありません。困難な状況に陥ったときには、自分だけで抱え込まずに、誰かに手伝ってもらうことが必要になります。周りからの援助を上手に受け取るのも、支えてもらいながら自分を見失わないことも、その人の「こころの力」の大事な一部分です。
|