《大阪吃音教室 例会記録》------------------------------------------------------------・吃音教室2004.12.03・記録 テーマ:自分をしばっている考え方に気づく 論理療法 入門編 担当者:長尾 政毅 参加者数:28人(内、初参加者3組4人) ------------------------------------------------------------ 18:45〜 (司会者)初参加者紹介・参加者近況 19:18〜 (長尾)論理療法の説明(実例に沿って) ・吃音教室で論理療法を取上げる目的は、吃音の悩みを少しでもや わらげることにある。 ・長尾自身の体験談を紹介。それを実例として、論理療法を説明。 <例1>中学2年の時、国語の本読みでとても吃って立往生、担任 教師に中段されられる。そのことでひどく落ち込む。 ・A:出来事(本読みで吃ったこと)、 C:結果(ひどく落ち込んだこと)、と書き表わす。 ・たいていの人は、「AがあるからCがあった」と、AとCを直結 して考える。 しかし、ひどく吃っても、大して落ち込まない人もいる。 ・実は、AとCの間には、Bという別のものが存在している。 英語ではビリーフ。考え方、出来事に対する受け止め方である。 Bがあるから、同じ出来事(A)でも、別の結果(C)になる。 ・<例1>では、どんなBを持っていたか。(長尾自身の回答) △人前で吃るのがみっともない。 △吃っている人間は劣っている。 △普通に本を読めないのは情けない。 こんなBを持っていたから、ひどく落ち込んだ。 ・余り落ち込まない人は、どんなBを持つのか。(参加者の回答) ○自分は吃りだから、吃るのはしょうがない。普通のことだ。 ○自分の吃りは皆が知っている。今さらみっともなくはない。 こんなBなら、軽い落ち込みで済みそうだ。 ・当時の長尾が持っていたような自己否定的なBを、イラショナル ・ビリーフ(非論理的B)、そうでないBを、ラショナル・ビリ ーフ(論理的B)と呼ぶ。 ・非論理的Bの特徴。自分によい影響を与えない。自分を不幸にす る。自分に損になる。 ・何かの出来事(A)に対し、自分にとって悪い結果(C)が及ぶ ようなときは、必ず非論理的Bが存在する。 非論理的Bを論理的Bに変えることが出来れば、悩み自体が解決 するわけではないものの、悩みを軽くすることが出来る。 ・吃音には、明確な治療法はない。吃音そのものをどうにかすると いうのは難しい。しかし、症状は改善しなくても、吃音への受け 止め方を変えることによって、吃音の悩みを軽く出来る。 19:37〜 (長尾)非論理的Bのもっと詳しい説明 ・自分の持つ考え方が非論理的Bかどうかを、見極めるポイント。 △その考え方が、現実的かどうか △その考え方が、筋が通っているかどうか △その考え方が、自分にとって損か得か 19:50〜 休憩 20:00〜 (長尾)非論理的Bの分類(5は伊藤が補充) ・非論理的Bは5つに分類出来る。 ことばにすると、それぞれ特徴的な語尾を持つ。非論理的Bかど うか判断するには、語尾を覚えておくのがコツ。 1. 不当な要求 (相手は)〜でなければならない、 (相手は)〜してくれて当然だ 2. 不当な過度の一般化 〜に違いない、〜のはずだ、 〜に決まっている、皆が〜だ 3. 絶対論的思考 〜しかない、〜べきである、 絶対に〜だ、必ず〜だ 4. 過剰な反応 〜は恐ろしいことだ、世も末だ、 〜は酷いことだ、もうおしまいだ 5. 事実と推測の混同 20:15〜 (長尾)新しい例で、非論理的Bを調べる <例2>出来事(A):ある会社の新入社員が、部署での自己紹介 で、大勢の前でひどく吃ってしまった。 結果(C):会社に行くのがいやになるほど落ち込んだ。 ・この例で、どういうBがあるのかを参加者が考える。([]内は 上の5分類。) ○仕事の出来ない人間だと思われたに違いない。[5] ○皆から馬鹿にされているはずだ。[4+5] ○ひどくみじめな姿を見せてしまった。[4] ○次もまた、同じようなことが起こるのが恐ろしい。[2+4] ○新入社員なんだから、皆は暖かく受容れるべきだ。[1] ○最初でつまずいたこの会社では、自分の将来はない。[3] ・今日のまとめ。 悩んでいるときには、自分の中に必ずイラショナル・ビリーフが 存在する。そのままでは自分が苦しいなら、イラショナル・ビリ ーフをラショナル・ビリーフに修正することが出来れば、悩みは 軽くなる。 ・イラショナル・ビリーフをラショナル・ビリーフに変える方法は 来週の論理療法・実践編で扱う。 20:45〜 初参加者感想 ○今日は、吃音について一つひとつ考えて行くという考えを知るこ とが出来て、とても参考になった。 ○娘の問題は、母親の自分の問題でもある。そのことで最近苦しん だ。今日は、自分でやって来たことの中身が言語化されている、 という思いで聞いた。今日の論理的な分析法は、吃音以外の問題 についても役に立つ。 ○この場の、皆が受容れてくれるという雰囲気に、自分の緊張が解 けて行くのを感じた。 ○今、言語聴覚士を目指している。ここの雰囲気のように、患者と ともに歩むような言語聴覚士になりたい。 (その他の参加者)吃音には精神的な面がある。精神関係の本には マイナス思考を消す方法について書いてあるものが多い。それと 違う今日の話は面白く、来週の実践編が楽しみだ。 20:57 終了------------------------------------------------------------ |