『ストレスや苦手とつきあうための
認知療法・認知行動療法』 ―吃音とのつきあいを通して― |
【内容紹介】
新しい吃音臨床に、アメリカでは認知行動療法が注目され初めている。日本の第一人者である精神科医・大野裕先生が、認知療法・認知行動療法をわかりやすく講義し、実習した記録。吃音のため、読み聞かせで困る高校教師との公開面接や、どもる人のグループで話し合われた女子高校生の、認知行動療法実践例など、今後の吃音臨床に役に立つだけでなく、誰もがもつ不安や怖れなどへの対処の仕方をわかりやすく解説。
アメリカの言語病理学者、ジョゼフ・G・シーアンの吃音氷山説をベースに、吃音の問題の大きな部分である、感情、認知にアプローチしたもの。 【目 次】 講義:(大野裕)認知療法の基本・面接(認知療法とは何か、認知療法の面接) 実習:(大野裕)認知療法の実践・ワーク(思考記録表(コラム表)、社交不安障害、スキーマに挑戦(認知療法のゴール)、より自分らしい生き方へ) 実習:(大野裕)公開面接 対談:(大野裕・伊藤伸二)認知行動療法を吃音に生かす (伊藤伸二)認知行動療法と吃音 吃音の問題とは何か 私の体験を認知行動療法で整理する アメリカの吃音臨床 生活中心主義アプローチ セルフヘルプグループで認知行動療法に取り組む みんなで考えた、吃音に関連づけた認知の歪み ほか
【まえがきより】(大野裕)
認知療法の一般的な概念だけでなく、公開面接の記録も含まれていて治療場面や相談場面で認知療法を使う方はもちろん、ストレスと上手につきあいたい方にも利用していただける内容。 認知療法・認知行動療法は、認知(もののとらえ方や考え方)のバランスを取りながら気持ちを軽くする方法。 精神疾患の治療法だけでなく、日常生活のストレスを上手に生かす方法としても注目されている。 認知療法では、協同的経験主義の考え方に立ち、患者さんと臨床家が一緒に力を合わせて、現実生活の中でさまざまな経験をしていく。認知療法は「認知」に注目するために、考え方を変える知的な作業だと誤解されることがあるが、決してそうではない。生徒に絵本の読み聞かせでどもってことばが出ない高校教師の苦悩の公開面接の記録を読めば分かるが、認知療法は、認知の歪みが強くなり、一時的に見えなくなった自分にとって大切なものを見つけなおす、実に人間的な営みだ。
【著者より】(伊藤伸二)
吃音ショートコースと大阪吃音教室から、新しい本が生まれました。 2009年の吃音ショートコースのテーマは、認知療法でした。「私は講演が苦手でした」と書かれていた新聞のコラムに親しみを感じ、大野先生にお手紙を差し上げ、関心を持ち続けてきた認知療法を学ぶことができました。そして、その年の年報として、ショートコースの報告をしました。その認知療法が、リニューアルして、金子書房から本として再登場することになりました。 大野先生が、年報の原稿を大幅に加筆修正して下さいました。また、新しく章を起こし、大阪吃音教室の講座の様子を収録しました。それが、2010年12月16日の大阪吃音教室の認知療法の講座でした。 静岡から参加した女子高校生の問題を、みんなで認知療法的アプローチで考えた講座でした。そのときの様子が、参加者の声を拾いながら再現されているのです。参加されていた方にとっては記憶に新しいでしょうし、参加できなかった方にとっても身近に感じていただけるのではないでしょうか。 ぜひ、お読みいただき、日常生活に活かしていただければと願っています。 |
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大野 裕(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長) 伊藤伸二(日本吃音臨床研究会会長) 共著 『ストレスや苦手とつきあうための 認知療法・認知行動療法』 ―吃音とのつきあいを通して― ISBN 978-4-7608-2636-0 |
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