《大阪吃音教室 例会記録》------------------------------------------------------------・吃音教室2005.01.28・記録 テーマ:さわやかな自己表現のために アサーション 入門編 担当者:伊藤 伸二(事情により講師交替) 参加者数:26人(内、初参加者2人) ------------------------------------------------------------ 18:55〜 (司会者)初参加者紹介 19:10〜 (伊藤)例会でアサーションを取上げることの説明 ・今週と来週の2回、アサーションを取上げる。 ・吃音者は、自分は吃るから人間関係が不得手だと、思い勝ちであ る。吃音が治らなくても、コミュニケーションに上達出来る。 ・コミュニケーションを改善するために大事な5つの要素がある。 △自己概念(自分を知り、自分の意志をしっかりつかむ) △傾聴(相手の話をしっかり聞いて、相手を良く知る) △感情の適切な処理(怒りに身体を任せたり、絶望にうちひしがれ たりしない) △アサーション(今日の時間で詳しく説明) △自己開示(これが、気が楽になるきっかけとなることが多い) ・このうち大きな柱となるのがアサーションである。 ・行動療法の一つとしてアメリカで行われ始めた「アサーション・ トレーニング」に対応する、適切な日本語がなかった。平木典子 さんが「さわやかな自己表現」ということばで広めた。 19:23〜 (伊藤)アサーションの詳しい説明 ・人の主張のしかたは、大まかに言って3つに分類出来る。 自己表現 自分の人権への配慮 相手の人権への配慮 △非主張的 尊重していない 尊重している △攻撃的 尊重している 尊重していない △主張的 尊重している 尊重している ・上記の「主張的な自己表現」が「アサーション」。形容詞は「ア サーティブ」。 ・この説明の後、参加者それぞれに、自分はどの自己表現を行いや すい傾向なのかを尋ねる。 ・次に、なぜ人は非主張的になったり攻撃的になったりするのかを 聞く。(人間関係のわずらわしさを避けるためという答が多い。) 19:33〜 (伊藤)どうしたらアサーティブになれるか ・人間関係のわずらわしさを避けるために非主張的になるという答 が多いけれど、アサーティブな方が余程わずらわしくない。 アサーティブな態度が身につけば、率直に自分の意見を主張する ので、相手から見て分かりやすい存在になる。却って相手との間 で波風が立ちにくい。 ・但し、アサーティブな表現法のレッスンが必要である。 ・アサーティブになれない理由 1. 自分の意志を明確につかめていない 2. 考え方がアサーティブでない 3. アサーティブに自己表現するスキルがない 4. 人権意識に乏しい ・アサーションを身につける対策 1. 「私」メッセージ(日常的に、自分のその時の気持ちを「私は …」と考える) 2. 論理療法で考える習性を身につける 3. アサーティブに自己表現する台詞を知る 4. アサーション権を理解する(次週、詳しく説明) 19:33〜 (伊藤)吃音者とアサーション ・愛媛大学の水町教授の研究に、大阪スタタリングプロジェクト( OSP)メンバー(吃音者群)と愛媛大学の学生(非吃音者群) の間で、アサーティブの度合いを比較したものがある。 その結果、前者の方がアサーション度が大きかった。人はセルフ ヘルプグループでの活動を通じて、アサーティブになれる。 ・また、OSPメンバーをアサーション度の大小で4グループに分 けると、アサーション度最大のグループメンバーの多くは、吃音 と楽につき合うことが出来ており、アサーション度最小のグルー プメンバーの多くは、自分の吃音を重荷に感じていた。 アサーショントレーニングは、吃音者にとても役立つ。 19:52〜 休憩 ・配布された「アサーションチェック」プリントに、休憩時間中に 回答する。 20:05〜 (伊藤)具体的な場面でアサーションを考える演習 △仲の良い友達と久し振りに会う約束をしていて、相手が大幅に遅 刻した場合、どういうことばで対応するのがアサーティブか。 △楽しそうに遊んでいる自分の子どもに、お使いを頼む用事が出来 た。どういうことばで頼むのがアサーティブか。 20:25〜 (伊藤)考え方をアサーティブにする演習(1) ・休憩時間中に記入したプリントの、左半分に沿って行う。 ・ここでは、日本人が従来、美徳、処世術として来たことを過剰に 取り込み過ぎた結果、陥り勝ちな傾向を取上げている。それを修 正してアサーティブになるにはどうするかを考える。 ×「人にゆずれ」の美徳を過剰に取り込み過ぎた場合 →相手も大事だが、先ずは自分を大事にする。お互いの要求を、 調整し合う。 ×「出しゃばるな」の美徳を過剰に取り込み過ぎた場合 →他人と同様に、自分も能力を発揮し、自分の挙げた成果を正当 に喜んでも良いと自覚する。 ×「いつも良い子であれ」の美徳を過剰に取り込み過ぎた場合 →発言すべき時に、自分の意見を適切に言語化する。 ×「人に迷惑を掛けるな」の美徳を過剰に取り込み過ぎた場合 →人はお互いに頼んだり頼まれたりして、人間関係が深まること を認識する。 ×「人の気持ちを傷つけるな」の美徳を過剰に取り込み過ぎた場合 →故意に傷つけるのは論外だけれども、大部分の人は少々のこと で打ちのめされるほど弱々しくはない。前もって配慮し過ぎな い。 20:40〜 (伊藤)考え方をアサーティブにする演習(2) ・休憩時間中に記入したプリントの、右半分に沿って行う。 ・ここでは、20通りの場面で、普段アサーティブに対応している かどうかを質問している。 参加者の自己評価による点数を聞き、話合う。 20:55〜 (伊藤)次週までに試みるアサーション演習 ・これまでの自分なら自己主張を控えていたという場面で、アサー ティブに対応してみる。次週の例会で、その場面と自分の主張、 相手の反応を報告することを宿題とする。 ・「基本的アサーション権」についてのプリントを配布し、次週の 例会までに知識と実行の程度を回答することを宿題とする。 21:08〜 初参加者感想 ○今日の2時間余りは、あっと言う間に感じた。参加している皆に 色々聞いてみたいことが出来た。これからも時間の許す限り参加 したい。 ○今日は難しかった。でも、少しは分かった。面白いと感じた。 21:10 終了------------------------------------------------------------ |